みやの(変態紳士倶楽部 五反田店)のヒメログ 2024-10-22 01:39:13

2024年08月

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気になるあの子の日記帳 ヒメログ

  • 2024-10-22 01:39:13

    お人形さんの人形になりたい

    僕は、準備室で、窓の外に広がる初秋の庭園を眺めていた。プラタナスの葉が、日に日に色褪せていく様は、どこか寂寥感を漂わせる。そこへ、彼女が訪ねてきた。

    「先生、お久しぶりですわ。お元気そうで、何よりです。」
    黒髪を顎の辺りで切り揃えた、小柄な彼女。白いブラウスに、黒のタイトスカートという出で立ち。大学を卒業してから数年経つが、相変わらず少女のような面影を残している。だが、その瞳の奥には、かつての生徒には似つかわしくない、妖艶な光が宿っていた。
    「ああ、君か。元気そうで何よりだ。舞台はどうだい?」
    「おかげさまで、なんとかやっておりますわ。でも、今回の役は難しくて…。」
    彼女は、ため息をつきながら、ソファに腰を下ろした。細い脚を組み、長い睫を伏せがちにする仕草は、男心をくすぐる。だが、僕は彼女のそういった媚態に、どこか胡散臭さを感じていた。
    「そうか。…ところで、それはなんだい?」
    彼女の手にした、小さな黒檀の匣に気づき、僕は尋ねた。
    「ああ、これですか?ちょっとしたものですが…。先生に、お見せしたくて。」
    彼女は、にっこりと微笑み、匣を開けた。中には、精巧に作られた人形が入っていた。それは、まるで生きているかのように、艶かしい表情を浮かべている。
    「これは…?」
    「私の操り人形ですの。可愛らしいでしょう?」
    彼女は、人形の糸を操り、優雅に踊らせた。その姿は、まるで彼女自身の分身のようだった。
    「…君も、誰かに操られているのかもしれないね。」
    僕は、思わず呟いた。彼女は、人形の動きを止め、じっと僕を見つめた。
    「ええ、そうかもしれませんわ。でも、それはそれで、悪くないと思いませんこと?」
    彼女の言葉に、僕は背筋に冷たいものを感じた。まるで、彼女自身が呪物に憑りつかれているかのような、そんな気がしたのだ。

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