出勤情報
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他の女の子のヒメログ
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2024-10-11 11:47:13
花火のつぎに終わるのは①
打ち上げ花火の最後の一発が、寂しげな余韻を残して柔らかく響いた。割れんばかりの拍手と引き返す人々の雑踏。再び賑わい始めるりんご飴屋の夜店。 「凛?」 突如背後から声がして、肩に手が触れた。驚いて振り返った拍子に、ペットボトルのサイダーが揺れた。 . 花火なんか見たのは久しぶりだった。 小学生の頃、地元のショボい花火大会にいったときは、指の間の酷い靴擦れの痛みに花火どころではなかった。また、ちょうど小学生の感性では、いい気になって花火なんて見たところで、もはやなんの魅力も感じ取れないのだ。浴衣は暑いし、足は痛いし、籤引きの景品は邪魔だし、早く帰ってポケモンのパールをやりこみたかった。 あれから5年。私は少し大人になって、花火大会のチラシにふと足を止めるくらいには余裕ができた。ゲームもすっかりやらなくなって、友達も彼氏もいなくなっていた。 「お母さん、10日の花火ってうちから見える?」 「そんなの見えないわよ。屋上でも開けてもらえたら別でしょうけど、うちのマンションからじゃせいぜい盆踊りの日に上がる花火くらいしか......」 「そ、わかった」 「あんた、もしかしてわざわざ見に行く気?花火は飽きたって毎年言ってたじゃない。何?誰かと一緒に行くの?」 「んー、行こうか迷ってる。一人だよ。誰も誘わないつもり」 「寂しい女ねぇ。それならお金は渡すから、出店で晩御飯食べてきてちょうだいね。お母さん夜仕事だから、お父さんにも外で食べてきてもらうわ」 「わかった」 一人で浴衣を着込んで、電車で都心から離れた大きな川の堤防までやってきた。早く着きすぎたつもりだったけれど、既にそこには場所取りのシートが隙間なく敷き詰められており、あぶれた人達がそのすぐ後ろで列をなして待っている。 「あ、たこやき」 適当に目に留まった夜店で腹ごしらえをして、自販機でサイダーを買った。本当は麦茶が飲みたかったのだけれど、既に売り切れで買えなかった。 一人は気楽でいい。 最悪花火が見られなくても、こうして祭りの空気を味わえるだけで十二分に価値があるというものだ。むしろ他人に振り回されて気を使って回る祭りこそ時間の無駄だ。夏はそんなに長くない。祭りは一夜で終わってしまう。そんな貴重な時間を、他人に割くだなんて馬鹿馬鹿しい。神社の石段でフランクフルトを頬張っていると、遠くから余興の舞台を任せられたゲストの若手芸人がコントを見せている声がした。私には一言たりとも琴線に触れなかったが、会場は盛り上がっているようだ。 ゴミ箱にトレイを捨てたちょうどその時、花火の打ち上げ10分前を知らせるアナウンスが流れた。
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2024-10-10 12:07:09
n=i
十五才から十八歳 短くないはずの時間思春期と呼ぶにはちょっと遅い期間クラスのみんなにはあったもの、僕ひとりだけ選ばれなかった者春の空 晴れた永遠黒板の寄せ書きに ひとりチョークが渡されなくて最後の日にも登校から下校まで ついに一言も発さなかった なにかの間違いではないかと一桁ずつ 一本指打法で何度も読み込んで 何度も何度も読み込んで飾り気のない真っ白な背景に、「ごめんなさい」と繰り返すしかなかった散った桜をアテに呑むストロングゼロは大人たちが言うほど美味しくはなかった 法が僕を大人と呼んでも子どものままでありたい 拒否権をくれよ 八十年の人生は何かを為すには短すぎるくせに何も為さないには長すぎる 生涯現役と逃げ場を絶たれて与えられざる者として 赤い本に青い本 グチャグチャに焚べても見分けがつく自信があるくらい 透ける下敷き 小さいカード何度も床を共にした いびつな形の三角形昔から数学は苦手だったよ きっと一生使わない蛍光ペン筆箱の中整理しちゃったりなんかして もうさよならなんだな2Bのシャーペン だいぶガタがきてしまってる買い替えることもないんだよなもうボールペンしか使わないんだよな 「成長」が「老い」に化ける瞬間 拝啓、頑張ってるときは頑張りたくないと思ってるのに頑張らなくてよくなってしまったら、なにか大事なものを取り上げられた気がしてしまうな生憎、皮肉なことに、望みもしないのに、僕はすこぶる元気です3年の努力が、18年の望みが、たった1クリックで全てなかったことになってしまっても涙すら出ないくらい元気なんですこのまま遠い国に、誰も知らない場所に、この43821番の試験結果とハネムーンしたいくらい元気なんですあーあ、母さんになんて言えばいいんだろうな
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