SP企画

風俗にまつわる有名人のコラムコーナー

kaku-butsuカクブツJAPAN〜俺にも言わせてくれ〜

kaku-butsuにゆかりのある人物が、週替わりで、時に熱く、時にクールに風俗に限らず世の中(ニュース、カルチャー、スポーツetc...)について、語り尽くすコラムコーナー

第4回は、kaku-butsu SOD風俗調査団員稲葉裕志さんです。

kaku-butsu SOD風俗調査団員
稲葉裕志

SOD風俗調査団の初期メンバーの一人として日々風俗調査に励んでいる。情報量は豊富に、わかりやすく読みやすいレポートが信条。また、これまでAV男優として450本以上のAVに出演。エロとは何かを考え、また良質な射精を日々追究している、性欲旺盛なアラサーである。

kaku-butsuがお世話になっているSODは
株式上場できるのか?

2014/3/6(木)

kaku-butsu SOD風俗調査団員 稲葉裕志


こんにちは。調査団員の稲葉裕志と申します。
某ディレクターからの突然の連絡を受け、コラム執筆の任を請け負ったのは良いものの、こんな若僧が偉そうに何を語るのか、と多くの諸先輩からお叱りを受けそうであります。そうは言っても良い機会なので得意の『精子に味をつける方法』についてでも、と思っていたところ、なんと今回は株について書いてくれとのこと。

私は十代の頃から株式投資に興味があり、大学入学と同時に本格的に取引を始めました。モニターをいくつも並べ、デイトレーダーをしていた時期もあります。大学卒業後は金融業界に飛び込み、仕事としてより身近な存在となりました。

ただ、その業界の殺伐とした空気を肌で感じてきたとはいえ、経験値はたかが知れたもの。SODもよくこんな無謀な話を、という思いではありますが、未熟者なりに何か一つでも役に立てるものを書ければと思います。

さて株の話ですが、おそらくは『オススメの株主優待とは!?』とか、『今この株が熱い!』なんてテーマが簡単でわかりやすいと思います。しかし、それはネット上にも情報は豊富にありますし、ダイヤ○ンドさんや日経○ネーさんにお任せするのが適当でしょう。

今回はせっかくkaku-butsu内に書かせていただくということで、いつもお世話になっているソフト・オン・デマンドを題材として『SODは株式上場できるのか?』という内容を取り上げてみたいと思います。今まで難しいとか、怪しいとか、色んな理由で株というものを敬遠されていた方にとって、少しでも興味を持てるきっかけになれば幸いです。

SODという企業、高校生でありながらAVをそれ程見ていなかった私にとって、その存在を知ったのは日本テレビ系で放送されたマネーの虎を見た頃。今やユーザーとして、AV男優として、そして風俗調査団員として、まさかここまで大きく関わることになるとは思っていませんでした。株式投資にのめり込んでいた私は、SODは株式市場に上場できるのか、そんな妄想を抱いたことがあります。

株式上場。今やそのメリットは薄れてきているという見方もありますが、それでもベンチャー企業、新興企業にとっては夢です。

SOD創業者、高橋がなり氏も語っていらっしゃいますが、そのような目標は選択肢の一つとしてあったと思われます。過去には会社四季報未上場版に掲載されたこともあり、企業規模は十分条件に満たしています。数字上の条件は揃っているのです。

ただ現状では性産業を事業としている企業の上場は不可能。東証上場基準では明確な記載はありませんが、『申請会社の事業目的や事業内容が公序良俗に反する場合や法律等に違反する場合は、投資対象物件として投資者に提供することは適当でない』、と定められています。(Ⅲ上場審査の内容 5「その他公益又は投資者保護の観点から東証が必要と認める事項」より)

これは基本的に関わるだけでアウトこれはと見られてしまいます。例えば、風俗店のシステムを構築したり、運用していると、それが事業の一部だとしても上場できないと思われます。このあたりは例えば事業比率が僅か数%程度になれば大丈夫ではないか、と色んな解釈はありますが、個人的にはSODというアダルト業界を代表する企業が、たとえ今更AV事業を極力減らしたとしても、少なくとも今の事業を続ける限り、まず不可能だと思います。

それならばTSUTAYAやゲオなどAVレンタルや、CSのアダルトチャンネル、等多くの上場企業が(TSUTAYA運営のCCCはMBOにより非上場になりましたが)運営しているアダルトコンテンツは許されるのか、と言われればそうなのですが、あくまでもこれらはメディア配信事業の一部門に過ぎないというわけです。
結論を言えば今のSODがSODで無くなれば可能、ということです。例えばアダルト事業から、メディア総合企業へと業態を変えてみれば可能性は開けるかもしれません。

ですが、そんなことは勿論誰も望んでいないでしょう。目指すべきなのはアダルト企業としての上場なのです。
私が一つ可能性として考えるのは、海外市場への上場です。

2012年8月、パチンコホール運営のダイナムHDが香港証券取引所に上場を果たしました。パチンコホール運営企業の上場は国内外で初です。
パチンコも反社会勢力の資金の温床となりやすいと言われる風俗産業に該当します。私はパチンコを全くやったことが無いので、ピンと来ないのですが、換金方式の合法性に問題があるという話です。日本で上場が認められなかった原因は主に資金の流れが不明瞭ということで、投資家保護の観点で上記の基準に抵触することが考えられます。(パチンコ機器メーカーは平和やSANKYO等いくつか上場していますが。)

ダイナムの場合、香港での上場は相当な苦労を経てようやく実現させたという経緯がありますが、 必ずしも風俗関連の産業だからと言って上場できないわけではないのです。むしろ公開することで、事業の透明化、資金の流れを明らかにし業界の健全化に貢献できるという意見もあります。

また、世界では売春宿経営企業が上場している例があります。オーストラリアのメルボルンにて売春ビジネスをする、デイリープラネットという企業がオーストラリア証券取引所に上場しています。社長は将来セックスディ○ニーランドを建設するのが夢とか何とか。ただ実際は不動産業としての登録となり、同社は不動産の管理会社として、実際の売春の金銭のやりとりは別会社でという形での運営となるようです。他にもフランスでは性関連商品販売のドリームネックス社が、ドイツで性具会社のベアテ・ウーゼ社等、アダルト関連企業が上場しています。

香港を含め、中国大陸には日本のAVが大好きな紳士が沢山います。SODは中国へ進出し、アジアにビジネスを展開しようとしています。これからは香港を地盤として中国、そして世界相手に戦っていくというのはどうでしょうか。

ただ、SODがそもそも経営上、株式上場にメリットがあるかと言えば難しいところです。SODの知名度は下手な上場企業よりも高く、資金調達に対する問題も現状ではあまり考えにくいです。大変な割に社会的リスクは高い。
それでも、SOD株が市場で自由に売買できるとなれば、私は色んな意味で興奮します。取引画面ではソフト・オン・デマンド(JQ.4545)の文字が流れ、ロイターやCNBCが大真面目にSODの業績を語ります。新人女優○○の3作目「超高級ソープ嬢」が予想以上に好調な売れ行きを見せ、3月期決算の見通しを上方修正。なんてコメントが並んだら全世界の注目の的でしょう。

株主優待はオナカップのTENGAやローターなどのアダルトグッズ、もしくはAV一本。株主総会ではイベントとして、新人AV女優との握手会。もしくはAV撮影現場見学なんてどうでしょう。エイベックスも最近までEXILEや安室奈美恵等、所属アーティストが株主総会で歌を披露していました。何らおかしなことではありません。

でも本当の話、将来的に可能性はゼロでは無いと思うのです。例えば上にも出たTENGAは世界40か国以上で販売されており、海外の売上比率は20%にも達しています。日本の技術力が世界で認められているのです。
TENGA社の売上高は22億円。基準の無い東証マザーズなら問題ありません。むしろTENGAの方が上場への道は近いような気がします。

アダルトグッズ製造の企業で上場審査は通るのでしょうか。TENGAのホームページの事業概要を見ると、『安全で機能的かつ衛生的な「成人用玩具」の研究開発及びその販売、「性」と病気に関する正しい知識と予防法の啓発と普及、「性」に関する正しい知識、情報の普及』となっています。

公序良俗に反するどころか、何と素晴らしい企業でしょうか。避妊具として、また性感染症を防ぐための、信頼ある日本製コンドームを製造する東証一部上場のオカモトと目的にはそう違いはありません。TENGAがまず上場を果たし、アダルトへの敷居を低くしてからSODも続くというのはどうでしょう。

私はSODが上場できる可能性はあると思っています。海外上場の話はここまで書いてきて何ですが現実的ではありません。ですが、挑戦する意義は大いにあると思っているのです。