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風俗にまつわる有名人のコラムコーナー

kaku-butsuカクブツJAPAN〜俺にも言わせてくれ〜

kaku-butsuにゆかりのある人物が、週替わりで、時に熱く、時にクールに風俗に限らず世の中(ニュース、カルチャー、スポーツetc...)について、語り尽くすコラムコーナー

放送作家・劇団「あんかけフラミンゴ」主宰 島田真吾

放送作家・劇団「あんかけフラミンゴ」主宰
島田真吾

脚本家・演出家・放送作家。よしもと所属。慶應義塾大学を中退し、お笑いと演劇の道を選ぶ。エロすぎ・派手すぎな公演を何度も重ねる小劇場若手演出家として注目を浴びる。ローション階段などのパフォーマンスを聞いた蜷川幸雄が「あんかけフラミンゴ(笑)」と言ったとか言わないとか。平成生まれ。

「モテたいから演劇をやってるワケですが!!〜小劇場というサブカルチャーの実態〜①」

2014/07/17(木)

放送作家・劇団「あんかけフラミンゴ」主宰 島田真吾


初めまして!売れない劇団の脚本・演出をしております、島田真吾と申します!
演劇をやりながら放送作家やkaku-butsuライターのお仕事をさせていただいております、平成生まれの若輩者。この度コラム執筆のお仕事をいただき、緊張のあまり2回吐きました。今も空エズキがウエウエ止まりません。

「劇団」や「演劇」という言葉から、どのようなイメージを皆さんは持たれているでしょうか……
「ハムレット」や「オペラ座の怪人」のような高貴なものをイメージされるでしょうか?
それとも下北沢などに根付くアングラなものをイメージされるでしょうか?

僕の劇団は完全に後者です!THEアングラな「小劇場」というフィールドでやっております!
50人もお客さんが入るとパンパンの小さい劇場で、売れない演劇をやっています。
毎回金をかけて芝居をし、儲からない演劇を何度も行い、今では200万の大赤字です……。

例えば、3メートル近い階段を使ったシーンで階段の一番上に座る女性の股からローションが溢れ出て、全員でローション階段を行いました。このとき使ったペペローションが120リットル。40万の赤字でした。こんなんばっかやってます。

アルバイトをして月6万円。家賃で4万円、残りの2万円で劇団の借金が返せるはずがありません!生活も困難です!劇団の借金でヒーヒー言ってる僕に、救いの手を差し伸べてくれたのがkaku-butsuでした。

このたび、コラム執筆ということで、悩むこともなく「演劇」にまつわることを書かせていただけたらと思います。映画や小説などに較べてサブカルチャー濃度が高い「小劇場」の実態を少しでも多くの方に知っていただけましたら幸いです。

小劇場とは
小劇場とは1960年代に生まれたアングラな文化で、一般的に50人〜200人がお客さんとして見れくれる程度の規模で公演を行います。役者・演出家・脚本家など多くの有名人を輩出してきましたが、サブカルすぎる故、あまりその実態は知られていません。ミュージカルやコメディなど大きな劇場や映画などと扱うテーマ自体は同じなのですが、予算面の問題からどうしても小規模になってしまいます。

小劇場で採算を取るのは非常に難しいと言われています。成功するまでの長い下積み期間が必要で、成功する保障はどこにもありません。それでも多くの若者が演劇での成功を目指して活動しています。会場のレンタル料から技術スタッフへのギャラ、自腹で刷る公演チラシなどどうしても多くのお金がかかります。役者達もギャラをもらって出演するのではなく、チケットノルマ(指定されたチケット枚数を売れなかった分は自腹)があります。そのため執拗に電話したりメールしたりしてお客さんを必死に呼びます。

「年に数回チラシをDMで送られてきたり、執拗な電話がかかってきたり……迷惑だ!」

「チケット代3000円?映画より高いなんて馬鹿みたい!」

「宣伝メールばっかり。お前ら演劇やってる奴らは友達を金づるだと思ってるだろ!」

など日々罵詈雑言を浴びせられながらも必死になってるのが、僕達演劇人です。

面白いもの作りたいんだ!売れたいんだ!も、モテたいんだ!
思う通りにはなかなか行かないんです……

僕はその中でもヒト一倍「モテたい!」という思いが強く、演出という仕事をしています。演出家といえば、女優を喰い放題できると聞いていたのですが全くモテません。集まってきません。他の演出家が喰い散らかす一方で、モテずに奥手な僕は家でシコシコとAVを見ながらオナニーの日々です。オナニーしては、女10人が不妊治療を送りながら性に乱れる脚本を書いたり、オナニーしては、監禁された極限状態のなか性に乱れる脚本を書いたり……こんなテーマばかりだから女の子が集まらないんだ、畜生!

小劇場の女優をやっている人たちはどんな人たちなのか
多くは大学の演劇サークル出身者や演劇専門学校出身者が、小劇場で女優をやっています。稽古とバイトの毎日を過ごしている人がほとんどで、女優だけで生活している人は1%もいません。「なぜそんなことに時間を使うのか」、「なぜそんなことに金を使うのか」と演劇関係ではない方々からしたら謎だらけの女優達。もちろん好きだから、人気になりたいからやってるんです。でも話を聞く限り、水商売で夜働いて昼間に稽古をしている人もいます。「売れないアイドルは大変」なんて話も聞きますが、もっと頑張ってるのは小劇場の女優達かもしれません。

「演劇オジサン」という女優ファン
そんな彼女達にチョコレートやアクセサリーなどを差し入れする「演劇オジサン」という人たちがいます。下北沢を中心に100人程度生息すると言われ、カワイイ女優達を陰ながら見守るオジサン達。「差し入れよりも金をくれ」という願いは届かず、ホールケーキ8個を一人の女優に差し入れた強者もいるそう。他にも年間600本みる演劇オジサンがいます。一日2本観劇する計算だとして……オジサン、仕事は!?どうやってメシ食っとんじゃ!演劇オジサンの生態は謎が深い……。

他の演出家に喰い散らかされ、演劇オジサン達にも喰い散らかされ……くそお、カワイイ女優達を……。しかし、多くのお客様に面白いものを提供するのが仕事なので……となんとか納得させながら日々演劇をしています。ネットで叩かれながらも演劇をやって、コンビニで130円のおにぎりが高くて買えなくても演劇をやって、実家帰った時にお小遣いをもらってでも演劇をやって……

せめて、モテたい!!!!

少し長くなってしまいましたが、まだまだ小劇場の事をお伝えしたいので、続きは来週の当コーナーにて!