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kaku-butsuカクブツJAPAN〜俺にも言わせてくれ〜

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プチ鹿島

お笑い芸人
プチ鹿島

オフィス北野所属のお笑い芸人。時事、芸能などの事象を独自の見解で見立てる事から「時事芸人」「文系芸人」などと称される。マキタスポーツ、サンキュータツオらと共演のTBSラジオ「東京ポッド許可局」が大人気放送中。著書に「うそ社説」(ボイジャー)「思わず聞いてしまいました!!活字版」(スコラマガジン)など。

橋本愛が教えてくれた「サブカル」の使い方について

2014/10/16(木)

お笑い芸人 プチ鹿島


私のツイッターのタイムラインはボンクラが多い。愛すべきボンクラとは、他の言葉で言うならなんだろう。「サブカル男子」か?(もしくは女子)

私がツイッターを始めたら真っ先にこういう人がフォローしてくれたということは、つまり同類と認識されているということだ。ボンクラ最高。

さて、そんな私のタイムラインがここ数年のあいだにとても似た事例で沸き立ったので挙げてみる。

それが「前田敦子・早稲田松竹に現る事件」と「橋本愛・ポルノ映画好き告白事件」なのだ。

まず前者から説明すると、AKB48を卒業してすぐの前田敦子が熱心に映画館通いをしている様子が話題になった。

2012年12月30日の東京スポーツは、

・「前田敦子はオフの日を作っては、朝から晩まで映画館で映画を見まくる」

・「過去の名監督や名優たちの作品がリバイバル上映されている独立系映画館にも足繁く通っている」

・「映画関係者の間ではひそかに評判になっている」

と書いた。

そんな記事があった年明け早々の2013年、前田敦子のツイッターにこんなつぶやきがあったので世間は騒然としたのだ。

《今日は夜一人で初 早稲田松竹行ってきたんですが素敵な場所ですね^o^『エル・スール』『ミツバチのささやき』二本だて最終日でもあったからか満席で若い方が沢山いた なんか嬉しかった、楽しかった(1月18日)》

私のツイッターのタイムラインでは「おお、同じ空間にいたのか」とか「明日行ってみよう、同じ映画を観る」というフォロワーたちのつぶやきやリツイートで沸き立っていた。「前田敦子は次はどの名画座や独立系映画館に現れるのか」という期待も話されていた。

「ああ、俺たちと話が合うかも」というボンクラ幻想を前田敦子は与えてくれたのだ。

そして今年の9月3日。日刊スポーツに『橋本愛はポルノ映画にハマっていた!』という記事が出た。要点を抜粋してみよう。

《女優橋本愛(18)が2日、一時期ポルノ映画にハマっていたことをインスタグラムで明かした。1月12日に18歳の誕生日を迎えた橋本だが、その頃ロマンポルノやピンク映画をずっと見ていたという。さらに高校を卒業してからは、成人映画のメッカである新橋ロマン劇場に通っていたことを告白。「魅力的なラインナップにいつも救われていて、はっきり言って青春でした」と振り返っている。とくに好きな女優は、宮下順子(65)と芹明香(60)とのことだ。》

予想通りツイッターは沸き立った。

今回の橋本愛ポルノ映画館通いというのはさらにサブカル男子に勇気を与えてくれたと思う。親近感を与えてくれたと思う。

しかし、私は生で聞いたことがあるのだ。橋本愛の「サブカルという言葉は嫌い」という発言を。

その発言を聞いたのは映画「桐島、部活やめるってよ」のDVD発売を記念したWOWOWのユーストリーム番組。「桐島、卒業するってよスペシャル」2013年2/23(土)のことだ。ニコ生でも配信された。

私の役割は「ひな壇」に座りながらガヤを飛ばす役。途中こういう場面があった。キャストの橋本愛が電話出演したとき「サブカルという言葉は嫌い」と発言したのだ。

たしか劇中でゾンビ映画に夢中になる映画部の話題の流れだった。趣味の話になった時だったと思う。

「サブカルという言葉は嫌い」というこのスパッとした言い様にニコ生のコメントは「うしろのサブカルおっさん達ガッカリww」とか「公開処刑~ww」というコメントで盛り上がっていた。

さて、それですっかり「橋本愛はサブカル嫌い」という印象でその日は終わったのだが、この発言の意味はよく考えれば味わい深い。

というのは、あれはサブカルそのものが嫌いという意味ではなく「何でもサブカルという言葉でまとめるのが嫌い」という意味にも解釈できるからだ。

つまり、自分の趣味や志向を簡単にひとつのジャンルでまとめられるのはイヤという。もしかしてこっちの意味ではなかったか? 私はずっと思っていた。

そして今回の「ポルノ映画好き」の話題が出た。ともすればこれも「サブカル好き」でまとめられる可能性だってある。いよいよ私の確信は大きくなった。

なのでいろいろ調べてみた。すると、「Seventeen 2013/05月号」で次のような記述が出てきたのです。答えているのは橋本愛。「よく聴く音楽は?」という質問にいろいろ答えながら次の発言をしているのだ。

《ほかにも、"サブカル系" とか言われてる、下北あたりでライブやってるバンドもよく聴いてるんだけど、それを "サブカル系" って名づけちゃう人がイヤ。何がサブで、何がサブじゃないのか!? 私はただ、おもしろいから好きになっただけなのに、そういうふうに言われるのがあんまり好きじゃないな~!!》

記事のタイトルはずばり「橋本愛 "サブカル系"って名づけちゃう人がイヤ」

ああ、やっぱり!

橋本愛はサブカルと簡単にまとめられるのがイヤだったのだ。

ここまで書いて思うのだが、そもそも「サブカル」ってなんだろうと思う。私は先ほど「今回の橋本愛ポルノ映画館通いというのはさらにサブカル男子に勇気を与えてくれたと思う」と書いたが、サブカル男子ではなくふつうに「映画ファン」でよいではないか。

つい、なんとなく大ざっぱにサブカルという言葉を利用してしまう。

《 "サブカル系" って名づけちゃう人がイヤ。何がサブで、何がサブじゃないのか!?》という橋本愛の言葉に反省したいと思います。