出勤情報
05/28 | - |
05/29 | - |
05/30 | - |
05/31 | - |
06/01 | 11:00-11:30 |
06/02 | - |
06/03 | - |
他の女の子のヒメログ
-
2024-05-03 01:32:33
「当たり前」の消滅
書店で本を選ぶ時や、朝家を出る前に電車で読む本を選ぶ時、ほぼ直感で手に取ります。本と自分は潜在意識でつながっていて、私にとって本選びはそれを顕在化するタロット占いのようなもの。そしてその直感は、良くも悪くも概ね的中します。最近手に取ったのは、小川洋子さんの「密やかな結晶」。 その島では、記憶が少しずつ消滅していく鳥、フェリー、香水、そして左足何が消滅しても、島の人々は適応し、淡々と事実を受け入れていく…そんなお話が、小川洋子さん特有の詩的で柔らかな描写で綴られています。静謐で残酷で切ないおとぎ話です。数十年前に書かれたこの本を今手に取ったのは、きっと何かの巡り合わせでしょう。そう思わせる程、このお話はこの数年間に社会で起こった現象とリンクしています。ある日突然、味覚、身体の自由、日常生活といった「当たり前」が消滅する…その驚きと失望を、きっと私の周辺だけでなく多くの人が味わったことでしょう。幼い頃から聴き馴染んできた姉のピアノの音色が、数ヶ月前に越してきた新居に響き渡る未来。少し広めのお家を選んだのは、将来息子の子供達がのびのび走り回れるようにするため。…そんな「当たり前」の未来が、もし来ないとしたら?何に対して闘えば良いのか、そもそもそれに意味があるのか、今は未だ分からないのです。それでも…「盲信は科学の放棄だ」最近ある大学教授が注意喚起で発信したその言葉だけが、私に与えられた唯一の手掛かりのような気がしています。
- 1