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風俗にまつわる有名人のコラムコーナー

kaku-butsuカクブツJAPAN〜俺にも言わせてくれ〜

kaku-butsuにゆかりのある人物が、週替わりで、時に熱く、時にクールに風俗に限らず世の中(ニュース、カルチャー、スポーツetc...)について、語り尽くすコラムコーナー

放送作家・劇団「あんかけフラミンゴ」主宰 島田真吾

お笑い芸人
プチ鹿島

オフィス北野所属のお笑い芸人。時事、芸能などの事象を独自の見解で見立てる事から「時事芸人」「文系芸人」などと称される。マキタスポーツ、サンキュータツオらと共演のTBSラジオ「東京ポッド許可局」が大人気放送中。著書に「うそ社説」(ボイジャー)「思わず聞いてしまいました!!活字版」(スコラマガジン)など。

オヤジジャーナル読み比べで、ヤジ事件のもうひとりの犯人がわかった!?

2014/07/17(木)

お笑い芸人 プチ鹿島


「号泣」が話題になったり(兵庫県議)、ツイッターでケンカ相手に「死ね」と言って辞職したり(中野区議)、最近地方議員が妙に目立つ。

それもこれも「都議会ヤジ事件」のインパクトが大きかったと思うのだ。女性都議に「早く結婚しろ」「産めないのか」とヤジが飛んだあの事件。いや、事件というか、どうやらあの風景が「日常」らしいことに多くの人が驚いた。地方議員のゆるさに注目しはじめた。

あのヤジ騒動、いろいろツッコミどころはあるけれど、そのひとつが「なぜメディアは実名を追及しなかったのか?」。メディア側は知っていたはず。

というのは、鈴木都議が名乗り出る前のワイドショーを見ていたら、多くの番組が議会終了直後の鈴木議員のコメントを流していたのだ。

これって、どこかのマンションで事件が起きた時「いちばん怪しい犯人候補」にインタビューして、そのあと逮捕されたら「私たちは容疑者にインタビューしていました」と言いだすパターンと同じ。

つまりヤジが発生した6月18日にはヤジった犯人の1人は鈴木都議だとメディア側は確実にわかっていたのである。ヤジを言った側もヒドイけど、わかってて追及しないほうもヒドイ。

大手メディアが実名を報じようとしない場合、こういうとき役にたつのがタブロイド紙や週刊誌の「オヤジジャーナル」だ。ひとことで言えば下世話系メディア。下世話、大好き。

東スポの6月22日の記事がおもしろかった。

《一方、ネット上ではヤジを飛ばしたと断定され、拡散された都議も。自民党の川井しげお都議(66)で、五輪招致議連の会長も務める重鎮だが、屈指の“ヤジ大王”としても知られる。だが、本紙の取材に川井氏は「大変迷惑している。私の席は一番後ろで、ヤジが飛んだとされる手前側と全然違う。電話が鳴りっぱなしで『死ね』とか『自殺しろ』とかまで言われている」と頭を抱えた。》

これ、皆さんどう読みます?鈴木都議が名乗り出る2日前の記事です。

私はこの記事を読んで、川井氏の名前をここで出すということは、東スポは「川井はシロ」と行間で言ってるように思えたんです。 実際2日後に鈴木都議が名乗り出た。

しかし、問題はここから。

鈴木都議は会見で「早く結婚しろ」は自分が言ったが「産めないのか」などのヤジは自分ではないと述べた。つまり他の「犯人」は依然としてウヤムヤのまま。

では「産めないのか」は誰が言ったのか?

そう思っていると6月25日の日刊ゲンダイに次の記事が。 「なぜ自民は隠す? もう一人のヤジ容疑議員を本紙が直撃!
として「中堅都議K氏」にインタビューしている。

ここでK都議は 「普段から俺はかなりヤジる方だからね」 「俺にも年頃の娘がおり、まだ結婚をしていない。娘を持つ親として言えるわけがないだろう」 とコメントしている。

ポイントは「普段から俺はかなりヤジる」の部分。 これ、東スポで「ヤジ大王」と報じられていた川井氏のことか?イニシャルも「K」だ。

で、今度は6月25日発売の週刊新潮。

【「スケープゴート」血祭りで余罪をすっとぼけた野次四天王】という記事。

《自民党都議団には、野次四天王と呼ばれる面々がいる。それは川井重男(66)、来代勝彦(69)、山﨑一輝(41)、高木啓(49)の4人の都議だという。》

出た、野次四天王!ものまね四天王みたいだ。 ここでも川井氏の名が。

しかし、先ほどのイニシャル「K」がヒントなら来代勝彦もKだ。

新潮は都政担当者の話を載せている。引用しよう。

 ・「当初、野次の発せられた議場での位置などから、野次四天王の川井さんにも疑いの目は向けられました。ですが囲み取材に対し”ウチには39歳になっても結婚してない娘がいるんだよ。そんなこと言えるわけがないじゃないか”と反論し、報道陣が失笑してました」

 ・「来代さんの場合は、一部の議員の間で“産めないのか”という野次の声が似ていると噂になったのです。」

そこで週刊新潮が来代都議に聞くと、

 ・「今年31歳になる未婚の娘もいるので、あんな発言はできません」

なんとびっくり。ヤジ四天王のうちふたりが潔白のために娘を使って言い訳にしてるのだ!

思い出したいのは先ほどの日刊ゲンダイ。K氏は「俺にも年頃の娘がおり、まだ結婚をしていない。娘を持つ親として言えるわけがないだろう」と同じこと言ってましたね。

以上、東スポ、ゲンダイ、新潮を読み比べた結果、「産めないのか」発言の有力容疑者は「川井重男(66)、来代勝彦(69)」ということになる。

念のために言っておくと「産めないのか」発言の犯人確定というわけではない。あくまでオヤジジャーナルに「犯人だと思われている人」がこの2人なのだ。

でも、自分で取材せずとも週刊誌やタブロイド紙を読み比べするだけでここまで「しぼれる」のである。なぜ、マスコミはこの先をツッコまないのだ?正体を知りたいではないか。ヤジを飛ばしてやりたいではないか。

そう、みなさんお気づきかもしれませんが、私は正義漢でやっているのでなくヤジの野次馬なのです。